四谷大木戸

区域 四谷区永住町三十六、七番地に亙る一廓で、市街電車・乗合自働車ともに新宿線の「大木戸」停留場下車、山手劇場横を北に入れば直ぐ。 省線新宿駅表口からは電車線路に沿ふて約十町。...

四谷荒木町

市電新宿線の「伝馬町二丁目」又は「塩町」停留場下車、いづれよりするも距離は三、四丁、丁度その両停留場の中はどから北へ折れて入ってゆく。 別称を「津の守」といふ。 四谷区荒木町二十七番地とそれに隣接せる十五、六、七、八番地及び二十六番地の各一部を限った区城で、そこに八十軒の芸妓屋と六十軒の待合がゴタヽと目白押しに軒を並べた文字通の狭斜街。...

九段

区域 麹町区富士見町一丁目から麹町三番町の各一部に跨がる間で、電車線路をへだてゝ、ほゞ九段招魂社と相対してゐる位置。 明治二十五年頃、山の手一と云はれた顔役柴田喜太郎といふ人が、土地発展策として芸妓屋と待合を開いたのが此花街の始まりで、当時はわづかに芸妓屋四軒・待合二軒であつたが、客に対しては諸事軽便に薄多主義を採ると共に、芸妓屋に対しては玉祝儀は必ず翌日払ひといふ類のない制度を採用した為、芸妓屋は日銭が入って生活が楽なので我もヽと集まり、震災前すでに三百五十余名の芸妓九十五軒の待合茶屋を擁して、数に於て市内の第八位を占めるに至った。...

神楽坂

牛込区神楽坂上の毘沙門天を中心とした一区画で、市街電車外濠線の「牛込見附」或ひは神田橋—若松町線の「肴町」停留場下車、距離は一丁乃至三丁。 省線電車ならば「飯田橋」駅下車牛込見附口の方へ出て、市街電車路を横切つて神楽坂を上つてゆく。 神楽坂は自動車の通行を禁ぜられて居るため、此の地の待合には自動車の横付にならぬ家が多い。...

浅草

区域 浅草公園裏手から馬道二三丁目の各一部及び千束町二丁目にわたる一帯、可なりひろい区域で、芸妓屋・待合はもっぱら千束町二丁目の公園寄に集中してゐる。 市街電車は「雷門」下車、仲見世の雑踏に揉まれ公園を抜けて料亭「一直」の方面に出るか、或ひは「田原町」に下車して東へまっすぐ十町ばかり行けば、所謂「浅草花街」の中心地である。...