柳橋
位置は両国橋の西詰。 市街電車は早稲田—錦糸堀線又は新宿—緑町線の「両国」停留場下車、或は本石町—雷門線の「浅草橋」で降りても、近きは二町遠きも四五町を出でぬ距離である。 「柳橋」とは神田川の落口に架した橋の名で、その橋を中に挟んで北は下平右衛門・新片町、南は元柳町の両岸に跨がつて居るところから、橋の名がやがて花街の名となったのである。...
新橋
区域 「銀座通」の内新橋寄り銀座七、八丁目から西銀座六、七、八丁目に及び、西は外堀端、東は三十間堀川を越えて木挽町、築地方面に亙る一帯の地。 新橋の花街 ...
東京花街心得帳
東京の三業制度 東京の花街は凡て芸妓屋、料理屋及び待合茶屋から成る三業制度である。 京都・大阪は芸妓置屋と貸席との二業組織で、料理店は加はって居らない。...
目次
東京 東京花街総記 東京花街心得帳...
東京花街総記
大雲京五十四花街「さすがに大東京である」と、格別感嘆したり、自慢したりするには当らないことだとおもふけれど。 武新野は月の入るべき峰もなし尾花が末にかゝる白雲 と詠まれたその「武蔵野」の凡そ半分にも當る廣い面積を取り入れて新しく建設された「大東京」三十五區の中、花街をもたない區は場末も場末もうんと場末である「葛飾」「杉並」の二區のみで、あとの三十三區は一區少きも一箇所、多きは三筒所、大なれ小なれ花街を有し、その総数五十四花街。そこに約一万一千の芸妓と五千を降らない娼妓及び二千八百の私娼がゐる。...