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娼妓の待過
娼妓の待過
現今の娼妓は昔日と異り人権を認め権利を尊重し 所謂人身売買の悪弊より全く脱脚し真に独立した稼業との見解を強め 常に家庭に於ては家族同様の待遇否第一線に立ち動くものなるに より以上の待遇をなしりゝある。故に組合は洲崎娼妓後援会なるものを設け取締自ら会長となり楼主は娼妓一人に対し毎月金四十銭の積立をなし年二回組合主催の許に慰安会を催し又時々適当の人物に依頼して衛生設備或は精神講話をなし其の他永き入院者に対しては病気見舞をなし契約期間を無事に稼業を終たものは賞として多少の金円を贈与しつゝある。其の他廓内一般申合により月一回乃至二回の公休日を与ふる事となせり現に公休を利用し遠くは江の島鎌倉等に遊覧をなすものあり或は浅草辺の活動写真に行くものあり即ち昔日の娼妓と其の待遇は全く天地霄壌の差がある。